御山義明法律事務所 MIYAMA YOSHIAKI LAW OFFICE

事例紹介

私的再生地方ゼネコンの私的事業再生

メインバンクの協力を得て借入金の一部劣後化(DDS)
それをもとに私的に会社再建を図った事例

概要

地方で1位2位を争う完工高を誇る総合建設会社(ゼネコン)。社歴100年を有し、まさに地元の老舗企業でした。しかしながら、一時期、公共工事が大幅に削減等された煽りを受け、売上げ、利益率ともに右肩下がりでした。老舗ゆえのぬるま湯体質か、社内の危機感も乏しく、2年連続赤字を計上したところでメインバンクより経営改善計画書の策定要請と、これらに対する対応によっては今後の支援体制に影響が出かねない旨の通告がありました。そこで当職を含む複数の弁護士と外部委託した公認会計士とともに、具体的な会社の再建と金融機関との調整に乗り出すこととなりました。

解決へのアプローチ

当社の再建にあたっては、過剰負債の見極め、金融機関調整、担保資産を含めた資産売却により債務圧縮、不良資産の処理とタックスプラン、当社が貸付け等により支援していた不振の関連会社群の整理等々、複雑な法律問題の処理が必要な案件を含め、多数の課題がありました。しかしながら、最も重要なのは、本業である建設業の利益確保。すなわち損益の改善です。建設業においては、貸借対照表、損益計算書を表面的に眺めるだけでは何も分かりません。利益(損失)の源泉(原因)は、個々の受注工事にあるため、個別の受注工事の内実調査と改善に切り込まなければ窮境原因は判明せず、これを無視した計画は全て絵に描いた餅となってしまうからです。そこで月に2回、一定額以上の受注工事を全て棚卸し、それを受注した営業と担当する現場監督、そして弁護士の三者が顔を突合わせ、当該工事の出来高確認、現状の粗利確認、更なる粗利改善策の検討と実施などに関する会議を重ねました。これら一連の作業により、会社内の利益に対する意識が高まり、紆余曲折ありながらも徐々に利益率を改善することに成功しました。
以上の経過をたどり、財務改善の課題については、経営責任問題に発展しかねない金融負債の大幅免除を織り込まずに、金融負債を一部劣後化(DDS)するのみでバランスシート改善を図ることができ、これを前提とした事業再生計画を立案。メイン銀行をはじめとする取引金融機関の承認を経て、会社再建の第一歩を歩むこととなりました。その後会社は再生計画を完遂し、現在は地元有数の優良企業となっております。