御山義明法律事務所 MIYAMA YOSHIAKI LAW OFFICE

事例紹介

私的再生サービサーを活用した老舗酒造メーカーの私的事業再生

老舗ブランド存続にかけるオーナーの想いと
これに応えたスポンサーの想いが見事にマッチした事例

概要

当該酒造メーカーは、全国新酒鑑評会における金賞受賞の経歴もある、名の知れた江戸時代から続く老舗の酒蔵。しかしながら日本酒の消費量はここ数十年ずっと右肩下がりで、当該会社の売上高もピーク時の5分の1以下に落ち込んでおりました。かなり以前にメインバンクの一角であるメガバンクの債権は債権回収会社に譲渡され、もう一つのメインバンクである地方銀行も新たな融資取引を行うどころか、金利の支払いもままならない状態に陥っておりました。「このままでは200年近く続くブランドが消滅してしまう」と危機感を抱いたオーナーと一緒に、様々なつてをたどって事業の引受先を探索しましたが、大赤字の日本酒蔵の再建に乗り出すようなスポンサーはなかなか見つかりませんでした。そのようななか、地元有力者のご紹介で当該酒造メーカーが所在する地域出身の上場会社創業者と出会い、当該酒造メーカーの事業再生にスポンサーとして一肌脱いでいただくこととなりました。

解決へのアプローチ

当然のことながら、会社が現在抱えている膨大な負債をそのままスポンサーに引き継がせることはできません。そこで現在の会社とは別会社をスポンサーに設立してもらい、同社に会社分割手続を使って、事業用資産や一般の取引債務、そして従業員を全て移管させ、また過剰となっている金融債権については当職の親密サービサーを一旦介在させることで廉価で債権の買取りを行い、実質的な大幅債務免除を得る手法を採ることに。会社の資金繰りは火の車、時間も限られる中で、酒類製造に関する許認可の移管手続、事業用不動産の移管手続、従業員に対する説明と移管手続、各取引先への説明等々、再生スキームに関する債権者との交渉と了解の取り付けなどを行わなければならず、とても大変な作業でしたが、無事、新たなスポンサーのもとで200年近く続いたブランドを存続させることができ、雇用も維持されることとなりました。