御山義明法律事務所 MIYAMA YOSHIAKI LAW OFFICE

事例紹介

労働紛争工場閉鎖に伴う労働組合との間の労働紛争案件

工場閉鎖、従業員の全員解雇に絡んで労働組合との間で20回を超える団体交渉を行い
訴訟および労働委員会における手続に完勝した事例

概要

歴史ある鉄工所の経営陣から受けたご相談でした。当社が手がける領域においては近年発注者による生産拠点の海外移転とグローバル化が加速し、国内市場は縮小傾向にありました。当社の本業である鉄工事業も売上げ、利益ともに右肩下がり、赤字決算が続いていた上に今後の売上げ回復は期待できない状況でした。当社には景気がよかったころに積み上げた潤沢な資産と膨大な含み益がありましたが、業界の先行きを考えるとこのままではその資産や利益をいつかは食い潰してしまうことは必至。そこで何十年も続いた鉄工事業を断腸の思いで廃業。鉄工所としての歴史に幕を下ろす決断をされ、当事務所に相談にいらっしゃいました。

解決へのアプローチ

鉄工所の閉鎖に伴い、約50人いた従業員は全解雇しなければなりませんでした。しかしながら、同従業員の一部は、活発な組合活動で有名な全国組織の労働組合に属しており、鉄工所の閉鎖および解雇について容易に首を縦に振るはずがありません。そこで鉄工所閉鎖やむなしと決断し、これを実行に移す1年以上前から対策のため打ち合わせを重ね、いくつものシミュレーションや法的ロジックの構築、証拠関係の収集などの事前準備を整えました。そして、いざ鉄工所閉鎖および従業員全員解雇を表明して以降、労働組合と22回もの団体交渉を行いました。労働組合との団体交渉においては、会社側は弁護士を含め4~5名程度、一方の労働組合側は10人を大きく上回る人数で対応し、時には怒号と罵声を浴びせられながらというシビアなものでしたが、事前の完璧な準備と労働組合から逃げずに真正面から対応したことで、その後の仮処分、本裁判、労働委員会における不当労働行為救済申し立て等の諸手続に「完勝」することができました。