御山義明法律事務所 MIYAMA YOSHIAKI LAW OFFICE

事例紹介

法的再生地方ゼネコンの法的再生

現場に足繁く通い詰め、優秀な従業員らとともに
法的倒産手続後の完全自主再建を果たした事例

概要

地域1位、県内でも3位の完工高を誇り、地元経済に大きな影響力を持つ老舗の地方総合建設会社(ゼネコン)。もともとは当社が行っていた取引先に対する数十億円に上る債権等の回収についてのご相談でしたが、状況を精査する中で当社自身が存続の危機に瀕していることが判明しました。メインバンクは実態を隠すため当該会社が行っていた粉飾決算の存在を知りカンカン、以後の支援を一切拒否されてしまいました。会社はあくまでも私的再建にこだわり、弁護士の静止も聞かず素性の明らかでない先からお金を借りてみたり、一部取引先に支払い繰り延べを申し出てみたりと、あの手この手で事業の継続を図りましたが、いよいよ振り出した約束手形の決済が不可能となり、すったもんだのあげく裁判所に民事再生法の適用を申請せざるを得なくなりました。

解決へのアプローチ

急な民事再生法の申立てであったため、申立後初めて詳細な資金繰り計画の作成に取りかかるという有様。申立て当時の手元資金は、完工高100億円近い会社としては到底繰り回していけるレベルではありませんでした。残された売掛金の回収金と手元資産の処分代金で何とか2か月弱は資金繰りが回る見通しがつきましたが再開した工事に関する下請代金の支払いが多額に発生する2か月後には数億円レベルでの資金ショートが見込まれました。裁判所対応、施主対応、下請外注先対応をしながら、民事再生手続下における資金調達交渉も行いました。幸い、東京の金融機関から支払い日前日に5億円のいわゆる「DIPファイナンス」を得ることで資金繰りを安定させることができ、無事、再生計画案の立案・可決を得ることができました。もともと土木建築部門、管理部門、営業部門とも所属する従業員は地域一番の優秀な人材が集まっており、これに中途入社した極めて優秀な営業マンの存在があり、現在では再び地域一番の総合建設会社として見事スポンサーなしの完全自主再建を果たしております。
後から手帳を見返してみるとこの頃は自宅に戻ることができた日が1週間に1日2日しかなく、まさに「現場にどっぷり」と浸かった毎日でしたが、この経験のおかげで、建設業における決算書、損益計算書、資金繰り、資金調達等々を学ぶことができました。