御山義明法律事務所 MIYAMA YOSHIAKI LAW OFFICE

事例紹介

私的再生将来の事業承継に備えた私的事業再生

大幅な債務圧縮による財務改善を行い、
会社オーナーと二人三脚で次世代に企業を継承した案件

概要

ご依頼者は一代で地方県庁所在地随一の企業に育て上げたオーナー会社社長。かつては宝飾製品の卸売り事業が本業でしたが、時代の流れに応じて低価格帯でファストファッションとの相性がいいコスチュームジュエリーメーカーに事業転換。あわせて将来の後継者であるご長男発案のブランド製品卸売り事業に進出し、事業拡大を図って参りました。本業は継続して利益体質にあったのですが、過去、リーマンショックによる巨額の赤字や宝飾卸売専業の時代に生じた巨額の不良債権に起因する過剰負債が会社の経営を圧迫し、なにより承継候補者であるご長男の事業承継にあたり大きな障害となっておりました。

解決へのアプローチ

当初は事業再生仲裁機関から「法的手続やむなしと考えるので、民事再生法申請の代理人になってほしい」とご相談いただいた案件でした。しかしながら会社の内容をつぶさに検討してみると、いきなり法的手続はあまりにもったいない、あくまで私的再生手続の途を模索すべきと判断し、当職が関与することとなりました。最大債権者であったメイン金融機関の地元信用金庫は当社の事業再生に協力的でしたが、初めての私的再生事案のため「第三者の公的機関の関与なしには債務カットには応じられない」とのスタンスを崩しませんでした。このためいくつかある公的機関の関与を通じて解決を模索するも、当該機関の理解が得られなかったり、その他取引金融機関において一部債務カットを内容とする事業再生計画に対する協力が得られなかったりで、行き詰まってしまいました。ここに至るまで約5年、通常の経営者であればここで諦めるのですが、「本業の収益力は失われていない以上、まだ再生の途は残されている」と粘りに粘り、最終的には在京の新規銀行、政府系金融機関などによる肩代わり融資の協力を取り付けるに至りました。既存債務の一部については、サービサーを介在させる手法により十数億円の実質債務圧縮に成功。今後、さらなる事業の拡大と最終的な目標であるご長男への事業承継が予定されています。